再生
2003年9月26日私のお膝元西荻窪の僕たちの好きなWATTSで今月の『FUTURE JAM』はズボンズ9周年記念ライブ、入場者には熊のバッジがもれなく配られた。オープニング・アクトは先月に続いて大阪からノイローゼ・ボーリングセンターズ。今回はめちゃくちゃハマッて「暴走車」「狂った5本指」は震える指の波動が伝わって揺すぶられる感じ。唐突にイギー・ポップの「NO FUN」これがまたキマった。気持ちイイ! ズボンズ出てきて瞑想的なキーボードから今日はサイケデリック・ブルースみたいなジャム・セッションだ。ズボンズ9周年も痙攣とめまいを感じつつ次々と光線状に降りかかる音楽を浴びて、ビールなんか飲んでるうちに、そのビールを売ってくれたカウンターにいたオッサンがステージに上がって、ギターを弾き出した。ドンに「日本ブルース界の巨匠」だか、あるいは「西荻ブルース界の巨匠」だかと紹介されたその「テラさん」とかいうオッサンのことは全然知らなかったが、かっこいい音を出していたよ。そんなロックの神が降りてきたようなJAMの最後には「That’s How Strong My Love Is」、ストーンズのオーティスのそしてズボンズの大名曲である(オリジナルはO・V・ライト)、この曲を一同完全に打ちのめされて聴かされました。「どうだ俺の愛の大きさは!」なんだか日本語でそう言っているように体に染み入るみたい、なんて素晴らしいライブだったんだろう。WATTSからの帰りコンビニに行く途中、さっきまでステージにいた「テラさん」を見た。
ズボンズ・セット・リスト
Jam Session〜
Mo’Funky
That’s How Strong My Love Is
(アンコール)
Way In / Way Out
デイヴィッド・ボウイのトニー・ヴィスコンティと組んだ黄金コンビのアルバム『REALITY』はやっぱりひたすらに黄金の光を放っていて、ボウイ自身も70年代に光を求めたか、一曲目再生した瞬間から大名盤『ハンキー・ドリー』に感じるようなこれは名盤だぞ、ていう警告に興奮して、その通り超名盤だった。
ズボンズ・セット・リスト
Jam Session〜
Mo’Funky
That’s How Strong My Love Is
(アンコール)
Way In / Way Out
デイヴィッド・ボウイのトニー・ヴィスコンティと組んだ黄金コンビのアルバム『REALITY』はやっぱりひたすらに黄金の光を放っていて、ボウイ自身も70年代に光を求めたか、一曲目再生した瞬間から大名盤『ハンキー・ドリー』に感じるようなこれは名盤だぞ、ていう警告に興奮して、その通り超名盤だった。
抒情的
2003年9月24日インターコミュニケーション・センター・ギャラリーにて『サウンディング・スペース 9つの音響空間』を見学した。9つのサウンド・スケープ・アートは、それぞれ学園祭なんかが通常もっている「センスの悪さ」を普通に持っていて、率直に言えば、つまんねーよ。あれ声が遅れて聞こえるよ的なマイクスタンドや、ヘッドフォンを装着して林立する鉄棒の間を歩けば、それにつれて音響が変化するというものなど、それくらいのことでかっこつけて、可愛らしさもないところに救いも無かった。オペラシティ・アート・ギャラリーで『GIRL! GIRL! GIRL!』を見学。こっちは全体的に可愛かったんだけど、入ってすぐ酸っぱい臭いが鼻を打つ藤原靖子のヘルメット展示『エルメット』や、ファット・ガール、タニシKのコスプレ映像・澤田友子のお見合写真など、他にも靴を脱いで観賞するポイントがいくつかあったりして、「ぷ〜ん」というオノマトペが通奏低音として流れていたという事実にも、俺には真実めいていて好感を持った。
ビデオで『8mm』(ジョエル・シューマーカー監督、ニコラス・ケイジ、ホアキン・フェニックス、ジェームス・ギャンドルフィニ、ピーター・ストメアら出演)を観賞。抒情的な日本人みたいなニコラス・ケイジが俺は好きなんだなあ。ビデオで『X-MEN』(ブライアン・シンガー監督、ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、イアン・マッケラン、パトリック・スチュワートら出演)を観賞。みんな個性的でいいよね、面白い。
ジャケが最高なストーンズのリミックス・シングル『SYMPATHY FOR THE DEVIL MIX』は、イイトコどりなネプチューンズMIXがやっぱりいい。ミック・ジャガーの声が非常にクリアだし、キースのギターもちゃんと泣いてます。原曲に勝つには原曲を使えだ。
ビデオで『8mm』(ジョエル・シューマーカー監督、ニコラス・ケイジ、ホアキン・フェニックス、ジェームス・ギャンドルフィニ、ピーター・ストメアら出演)を観賞。抒情的な日本人みたいなニコラス・ケイジが俺は好きなんだなあ。ビデオで『X-MEN』(ブライアン・シンガー監督、ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、イアン・マッケラン、パトリック・スチュワートら出演)を観賞。みんな個性的でいいよね、面白い。
ジャケが最高なストーンズのリミックス・シングル『SYMPATHY FOR THE DEVIL MIX』は、イイトコどりなネプチューンズMIXがやっぱりいい。ミック・ジャガーの声が非常にクリアだし、キースのギターもちゃんと泣いてます。原曲に勝つには原曲を使えだ。
その気になれば
2003年9月21日東京都美術館にて『トルコ三大文明展』を見学した。B.C.1800年からのヒッタイトといえば鉄だと俺は昔勉強したことがあるけれども、大体土くれのようなものを見せられて、俺の想像していたような生活とは全然違うのだなということに気付いた。動物のリュトン(土製)なんかはとってもファンシーで、可愛いものに囲まれた生活も楽しいものだったろう、なんて考えながら、順路をひたすら早く歩いて、「トプカプのエメラルド入り短剣」も横から見ただけだった。だって今日はものすごく混雑していて、土くれのところにだってエメラルドのところにだって同じくらいの人だかりができていて、その守備範囲の広さをかいくぐって一気に突き抜けるということは、その気になれば実は簡単なことなのだった。(その気とは「芸術とは一瞥」)
待望ラプチャーの『ECHOES』は存外にわかりやすいアルバムで、しかしこれをサマソニの時の曲順に並べ替えて聴いてみれば、やっぱりちょっと変で楽しくなる。「LOVE IS ALL」は一曲目に持ってきていきなり外した方がいいし、インダストリアルでもパンクでもなく普通に最高なダンス・チューン「HOUSE OF JEROUS LOVERS」はラストまでとっておいてこそラプチャーだと思うのである。いいアルバムなんだけど、特に中盤からまとまり過ぎていて嫌。
ビデオで『スズメバチ』(フローラン・エミリオ・シリ監督、ナディア・ファレス、ブノワ・マジメル、パスカル・グレゴリーら出演)を観賞。ストーリーはつかめなかったけど、それは別にいいのかな。ビデオで『シャーロット・グレイ』(ジリアン・アームストロング監督、ケイト・ブランシェット、ビリー・クラダップ、マイケル・ガンボンら出演)を観賞。ケイト・ブランシェットが主演だと、焦点がぼやける感じ。何にも残らなくて、でもハッピーエンドだからまあいいか。
待望ラプチャーの『ECHOES』は存外にわかりやすいアルバムで、しかしこれをサマソニの時の曲順に並べ替えて聴いてみれば、やっぱりちょっと変で楽しくなる。「LOVE IS ALL」は一曲目に持ってきていきなり外した方がいいし、インダストリアルでもパンクでもなく普通に最高なダンス・チューン「HOUSE OF JEROUS LOVERS」はラストまでとっておいてこそラプチャーだと思うのである。いいアルバムなんだけど、特に中盤からまとまり過ぎていて嫌。
ビデオで『スズメバチ』(フローラン・エミリオ・シリ監督、ナディア・ファレス、ブノワ・マジメル、パスカル・グレゴリーら出演)を観賞。ストーリーはつかめなかったけど、それは別にいいのかな。ビデオで『シャーロット・グレイ』(ジリアン・アームストロング監督、ケイト・ブランシェット、ビリー・クラダップ、マイケル・ガンボンら出演)を観賞。ケイト・ブランシェットが主演だと、焦点がぼやける感じ。何にも残らなくて、でもハッピーエンドだからまあいいか。
スモール・タウン
2003年9月20日東京厚生年金会館で急スロープに座り、ルー・リードのライブ『NYC MAN Tour』を観賞。落日のルー・リードを観た。本来的に夜に属する人だろうから、落日という表現は適当じゃないけれども、脱力感があったなあ。ドラム・レスで、チェロが入っているという構成で、いきなりルーがディストーション・ギターやり始めたときは、寝てもないのに目を覚まされた気分になったが、それ以外はアンプラグドなライブだったと思った方がいいんだろうな。(実際はギターの音を機械的に変換しまくっていろんな音色が出てた、それはさておき)落日のルー・リードはヴェルヴェッツ時代の曲もたくさん演ってくれた。これは嬉しかった。ヴェルヴェッツに異常に反応するのは、俺のケツの青いところかもしれないし、多分良いところであるのだろう。だから、下手から退いても退いても出てくる太極拳の師匠のことも大目に見れるし、このまったり流れた2時間半に満足できたかと言えば、満足できたに決まっているのである。「東京はスモール・タウンか?」とルーに問いかけられれば、皆と一緒に「イエース!」と答えるのである。なんて俺はイイ奴なんだろう。アンコールは最高だった。ヴェルヴェッツ『?』からの「CANDY SAYS」(ルーは「自分は歌えない」とかいって、Anthonyがボーカル担当、至玉)、ルー・リードは実は昔から落日の詩人だったと悟らされた「PERFECT DAY」に、最後「ワイルド・サイドを歩け」。とぅとぅとぅとぅとぅ、そんな帰り道は歌舞伎町を歩いて新宿駅まで。
セット・リスト
1.Sweet Jane
2.Smalltown
3.Tell It To Your Heart
4.Men Of Good Fortune
5.How Do You Think It Feels?
6.Vanishing Act
7.Ecstasy
8.The Day John Kennedy Died
9.Street Hassele
10.The Bed
11.Reviens Cherie
12.Venus In Furs
13.Dirty Blvd.
14.Sunday Morning
15.All Tomorrow’s Parties
16.Call On Me
17.The Raven
18.Set The Twilight Reeling
(アンコール)
19.Candy Says
20.Perfect Day
21.Walk On The Wild Side
セット・リスト
1.Sweet Jane
2.Smalltown
3.Tell It To Your Heart
4.Men Of Good Fortune
5.How Do You Think It Feels?
6.Vanishing Act
7.Ecstasy
8.The Day John Kennedy Died
9.Street Hassele
10.The Bed
11.Reviens Cherie
12.Venus In Furs
13.Dirty Blvd.
14.Sunday Morning
15.All Tomorrow’s Parties
16.Call On Me
17.The Raven
18.Set The Twilight Reeling
(アンコール)
19.Candy Says
20.Perfect Day
21.Walk On The Wild Side
ハイセンスな
2003年9月18日中野ザ・ポケットで少年王者館のリバイバル公演『それいゆ』(天野天街作・演出、夕沈、岩木淳子、水谷ノブ、虎馬鯨ら出演)2日目を観賞。奇跡と呼べるほど完成度の高い舞台だった。永遠に明日のこないループする一日のなかで入れ代わり立ち代わり現れる役者たち、また繰り返される同じセリフ、同じ動き、そのリズムが心地よくも圧倒される。ラスト近く時間のループが狂ったように廻り出して絶叫がこだました後、ラストのセリフ無し、パネル・メッセージでは俺は明日どころか一気に彼岸まで吹っ飛ばされました。鈴木翁ニに天野天街(そして信長・秀吉・家康)、人が一般的にどう考えてようと、俺は愛知の人間といえば天才かもしれないと思うのである! 特に天野天街だけは間違いなく天才だろうなあ、あとは知らないけど。
DVDで『トレーニング・デイ』(アントニー・フュークワー監督、デンゼル・ワシントン、イーサン・ホーク、スコット・グレンら出演)を観る。デンゼル・ワシントンは結局単なる悪役を演じたのか。ビデオで『アメリカン・サイコ』(メアリー・ハロン監督、クリスチャン・ベール、ウィレム・デフォー、クロエ・セヴィニーら出演)を観る。とてもハイセンスな素晴らしいオープニング、俺の映画観賞史上でもこんなに心惹かれたものは稀だ。そして非常に趣味が悪い主人公。笑える。そういうの全部ひっくるめて最初から最後までツボな映画だった。
DVDで『トレーニング・デイ』(アントニー・フュークワー監督、デンゼル・ワシントン、イーサン・ホーク、スコット・グレンら出演)を観る。デンゼル・ワシントンは結局単なる悪役を演じたのか。ビデオで『アメリカン・サイコ』(メアリー・ハロン監督、クリスチャン・ベール、ウィレム・デフォー、クロエ・セヴィニーら出演)を観る。とてもハイセンスな素晴らしいオープニング、俺の映画観賞史上でもこんなに心惹かれたものは稀だ。そして非常に趣味が悪い主人公。笑える。そういうの全部ひっくるめて最初から最後までツボな映画だった。
大体気持ちよくなって眠れる
2003年9月17日Blue Note東京でマシュー・ハーバート・ビッグバンドのライブ『the magic and accident tour』を観賞。眼鏡を忘れて目が見えないと案内してもらった最前列はバリトンサックスに左の鼓膜を驚かされ、バリトン奏者(Bob Mickey)と頻繁に目が合う席だった。総勢19人の大男どもが小さなステージの上に膝をぶつけながらはみ出るようにして載っているので、それは間近になるわけだ。その中でも背筋をピーンと伸ばして足踏みしながら回転し、サンプラー・プログラミング・キーボードと次々にタッチしていくハーバート御大は断然かっこよかった。「APPARTMENT」でビックバンド全員が朝日新聞を破るパフォーマンスをし(ながらその音を取り込んで演奏し)、ポリティックなメッセージがあるのかと緊張したが、次には全員がカメラを持って撮影し(ながらその光とフィルムを巻く音を取り込んで演奏し)ていたので、なんだか純粋にとっても楽しそうだった。もちろん俺も楽しかった。背中丸出しで過激な淑女ダニ・シシリアーノも加わって、アンコールは『body functions』から2曲、キラー・チューンの「the audience」で最高潮に盛りあがって、終わったのだが、全10曲1時間強のライブで7000円はやっぱり、さすがはBlue Noteだった。
セット・リスト
1.TURNING PAGES
2.CHROMESHOP
3.THE BATTLE
4.SIMPLE MIND
5.RIVOLI SHUFFLE
6.THE APPARTMENT
7.CAFE DE FLORE
8.OVER EXPOSED
(アンコール)
9.FOREIGN BODIES
10.THE AUDIENCE
そのマシュー・ハーバート・ビッグバンドの『good-bye swing time』を俺はいつも寝る前に聴いていた。M-5「クロムショップ」〜M-6「バトル」の流れで大体気持ち良くなって眠れる。だから7曲目以降はほとんど聴いたことがないんだが、CDの方はそこまで優れているとも思わないなあ。今日は今月号の『すばる』を読んで寝た。
セット・リスト
1.TURNING PAGES
2.CHROMESHOP
3.THE BATTLE
4.SIMPLE MIND
5.RIVOLI SHUFFLE
6.THE APPARTMENT
7.CAFE DE FLORE
8.OVER EXPOSED
(アンコール)
9.FOREIGN BODIES
10.THE AUDIENCE
そのマシュー・ハーバート・ビッグバンドの『good-bye swing time』を俺はいつも寝る前に聴いていた。M-5「クロムショップ」〜M-6「バトル」の流れで大体気持ち良くなって眠れる。だから7曲目以降はほとんど聴いたことがないんだが、CDの方はそこまで優れているとも思わないなあ。今日は今月号の『すばる』を読んで寝た。
PATA
2003年9月14日休日には公園に行って無料のライブを聴く。代々木公園野外ステージで『TOKYO CLUB FANTASISTA』。夕立も降ってきたけど、行ってよかった、俺は生まれて初めてPATA(現Ra:IN、元XJAPAN)を観た。満点な笑顔でハードロックしてたよ。sachieと大沢睦生のDJでひとしきり騒ぎ、やはり大沢氏はマンドゥもラプチャーもかけてくれてなにか大きな安心感に包まれれてだからひとしきり騒ぎ、その後、活動休止近いプリ・スクールはじっくり聴こうと思ったら、これがバキバキのテクノセットで驚愕しながらも俺は、皆はひとしきりどころか果てしなく騒ぎまくることになってしまった。大和田氏の前には二台のノートパソコン(!)、芹野氏の前にはターンテーブル(!!)、佐藤氏はキーボードで、一時間止まることなく演奏は続いた。時代は変われど、私たちは踊り続けるのだ。
DVDで『ストーカー』(マーク・ロマネク監督、ロビン・ウィリアムズ、コニー・ニールセン、ミシェル・ヴァルタン、ディラン・スミスら出演)を観賞。『インソムニア』に続いてまたしけた悪役のロビン・ウィリアムズ。俺の中でそんなイメージが定着してきた。しかし、物の配置だとか映像的に監督のセンスの良さを見せられた感じで、実はロビン・ウィリアムズがどうのこうのは関係ないんじゃないか。
DVDで『ストーカー』(マーク・ロマネク監督、ロビン・ウィリアムズ、コニー・ニールセン、ミシェル・ヴァルタン、ディラン・スミスら出演)を観賞。『インソムニア』に続いてまたしけた悪役のロビン・ウィリアムズ。俺の中でそんなイメージが定着してきた。しかし、物の配置だとか映像的に監督のセンスの良さを見せられた感じで、実はロビン・ウィリアムズがどうのこうのは関係ないんじゃないか。
銀河忍法
2003年9月13日イル・テンポで『森山大道作品展ーアンビバレンスー』を見学。ポラロイドということで妙にてらてらした写真がクッキリしていて柴崎コウみたいでそうじゃないけど異様だ。54-71の新譜今頃購入『the men of non-doing』はトム・ウェイツばりに美メロがからんでくる「i’m in love」で特に焦る。どうしよう今年ライブいっていない。どうしよう後チャンスは一回か。どうしようもこうしようもなく、決意。アストロ・ホール11・1。山田風太郎『銀河忍法帖』(角川文庫)を読む。少年ジャンプ史上最強の男ラッキーマンくらい無敵な六文銭。宇宙の話ではないし忍法も全然活躍しないんだけど、壮大に「銀河忍法」と看板かかげたくなるような、突きぬけて名著だね。『オール読物』『小説新潮』購入。今月の『オール読物』読むもの多いなあ。ビデオで『マイノリティ・レポート』(スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ、コリン・ファレル、サマンサ・モートン、マックス・フォン・シドーら出演)を観賞。『時計じかけのオレンジ』とだぶるシーンがいくつかあって、別にそれはどうでもよいことかもしれないが、いや実際目で楽しむ映画だったから。小向美奈子のムック写真集『18歳 解禁』(講談社)は小塚毅之と松田忠雄が撮影。小塚的な世界は一目瞭然であるが、鏡体を用いた撮影では股間主義よりさらに奥にえぐりこまれた写真が撮れていて、このままいけば、さあアナルの解禁は近いか!?
双頭の鷲
2003年9月12日三鷹市芸術文化センター・星のホールでシベリア少女鉄道『二十四の瞳』(土屋亮一演出、染谷良子、横溝茂雄、秋澤弥里ら出演)初日を観賞。11台のカメラと2台の巨大スクリーンを使ってた(とのこと。そんなにカメラあったのか。6台のカメラ×2つのスクリーン+六人の出演者の瞳で24の瞳かと思ったんだけど、24の瞳というタイトルは適当につけたのだそうだ)。ふうん。オープニングの笑点ネタは拙者ムニエルの『グッド・アイデアマンズ・ユニーク・アドベンチャー』とかぶってるけども、それ以外はまるで新しい芝居を観た感じ。亡霊役・横澤氏のとつとつと小声でかつ早口で言う長台詞は全然聞き取れなくて味があったし、一幕物のほぼ展開が読める芝居から眼を完全にそらさせるラストでは、もう観客は誰も芝居なんかどうだってよくなってた。一つのスクリーンで宇多田ヒカル・松浦亜弥・安室奈美江のPVを連続で流し、もう一つのスクリーンでは役者が芝居を続けながらPVと合致する動きをするという難しそうなことをするので、俺の二つの瞳は二台のスクリーンをチェックするだけで精一杯。15分くらい続いたシンクロナイズドが終わると、舞台では全員死んだことになっていた。破綻した芝居とは言うものの、実際これほどわかりやすく面白かった芝居もないなと今夜は三鷹駅までの道程も余韻にひたりふらふらと。
ビデオで『サイン』(M・ナイト・シャマラン監督、メル・ギブソン、ホアキン・フェニックス、ローリー・カルキン、アビゲイル・ブレスリンら出演)を観賞。宇宙人襲来を描いて、大統領が出てこない映画。でもメル・ギブソンで十分。ビデオで『エリン・ブロコビッチ』(スティーヴン・ソダーバーグ監督、ジュリア・ロバーツ、アルバート・フィニー、アーロン・エッカートら出演)観賞。ジュリア・ロバーツの一人舞台。リチャード・D・ジェームスに似た外貌が怪しいアーロン・エッカートがからんでこなかった。それでいいのだが。ビデオで『スティング』(ジョージ・ロイ・ヒル監督、ロバート・レッドフォード、ポール・ニューマン、ロバート・ショウら出演)観る。双頭の鷲だから最高なんだ。『トゥーム・レイダー』(サイモン・ウェスト監督、アンジェリーナ・ジョリー、イアン・グレン、ダニエル・クレイグら出演)を観賞。大雑把なのは悪くないけども、ジョン・ボイドと並べると魅力は激減する。
ビデオで『サイン』(M・ナイト・シャマラン監督、メル・ギブソン、ホアキン・フェニックス、ローリー・カルキン、アビゲイル・ブレスリンら出演)を観賞。宇宙人襲来を描いて、大統領が出てこない映画。でもメル・ギブソンで十分。ビデオで『エリン・ブロコビッチ』(スティーヴン・ソダーバーグ監督、ジュリア・ロバーツ、アルバート・フィニー、アーロン・エッカートら出演)観賞。ジュリア・ロバーツの一人舞台。リチャード・D・ジェームスに似た外貌が怪しいアーロン・エッカートがからんでこなかった。それでいいのだが。ビデオで『スティング』(ジョージ・ロイ・ヒル監督、ロバート・レッドフォード、ポール・ニューマン、ロバート・ショウら出演)観る。双頭の鷲だから最高なんだ。『トゥーム・レイダー』(サイモン・ウェスト監督、アンジェリーナ・ジョリー、イアン・グレン、ダニエル・クレイグら出演)を観賞。大雑把なのは悪くないけども、ジョン・ボイドと並べると魅力は激減する。
一ヶ月に2人
2003年8月31日パルコ・ミュージアムにて『写真家・岡本太郎の眼 東北と沖縄』を見学。ノー・フェイスなんだな。辺境というものはディープと呼ばれこそすれ、見よこの顔! 立体感がなく、平面の広漠としたイメージしか持ってないではないか。噂に聞くファミコン時代のクソゲー『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』の画面はかくばかりか、とプレイしたこともないゲームを引き合いに出さねばならぬほど、俺はこんな顔知らない。見たこともない。「なまはげ」のお面。俺はこんな「なまはげ」見たこともない。深い意味のない、他意のない顔に俺は出会ったことがないが、今は違うんだろうけど、昔の辺境にはそんな顔がごろごろ転がっていたんだろうな。何を書いているんだろうか俺は。一ヶ月前の日記を書いている。
フーのDVD『The Who』(ブラジル盤)を購入。’63年くらいからのライブ映像を大体年代順に20曲並べてて、初期からフー(ピートとキース)は暴れまくって一曲終わるとステージには煙が上がっていた。期待以上のパフォーマンスは、義足の演歌歌手のように直立して歌っていたロジャーも同様、70年代には涙無しには見れないくらい手のつけられないハイテンション・アクトで、かたやエントウィッスル氏はキュビズムの絵画のような横顔見せて固まっているのが面白過ぎる。なんだこの人種は。’78年がフーのピークであったことが映像で確認できる一枚。俺の家に来た人間には、有無を言わさず全部みてもらってます。1ヶ月で2人しかこなかったな。
『月刊PLAYBOY』『SNOOZER増刊号』購入。スヌーザー増刊はフェス特集。セットリストが嬉しい、夏の思い出。DVDで『ショウ・タイム』(トム・デイ監督、ロバート・デ・ニーロ、エディー・マーフィー、レネ・ルッソら出演)を観賞。デニーロのコメディは、外さない。
フーのDVD『The Who』(ブラジル盤)を購入。’63年くらいからのライブ映像を大体年代順に20曲並べてて、初期からフー(ピートとキース)は暴れまくって一曲終わるとステージには煙が上がっていた。期待以上のパフォーマンスは、義足の演歌歌手のように直立して歌っていたロジャーも同様、70年代には涙無しには見れないくらい手のつけられないハイテンション・アクトで、かたやエントウィッスル氏はキュビズムの絵画のような横顔見せて固まっているのが面白過ぎる。なんだこの人種は。’78年がフーのピークであったことが映像で確認できる一枚。俺の家に来た人間には、有無を言わさず全部みてもらってます。1ヶ月で2人しかこなかったな。
『月刊PLAYBOY』『SNOOZER増刊号』購入。スヌーザー増刊はフェス特集。セットリストが嬉しい、夏の思い出。DVDで『ショウ・タイム』(トム・デイ監督、ロバート・デ・ニーロ、エディー・マーフィー、レネ・ルッソら出演)を観賞。デニーロのコメディは、外さない。
MOJO MAN
2003年8月29日月に一度の西荻窪ユナイテッド、WATTSにて今回の『FUTURE JAM』は全身の関節が外れちゃうほど踊り倒さなきゃやってらんない。どファンキーどサイケ。オープニング・アクトにノイローゼ・ボーリングセンターズ。セッションはズボンズのオリジナルメンバーに、竹内朋康氏、ディジェリドゥ使いomi氏。序盤の幻惑サイケに俺はクラクラしていたのだが、松尾氏気に入らないらしく、一気に上げたら留まること知らなくなって果てしなく。いつもより大幅に延長した後、「ギミワンモアチャアンス?」また「MOJO MAN」繰り返されて、得たりと俺もまた関節を外した。だって踊り倒さなきゃやってらんないんだもん。だってだって。
ビデオで『呪怨』(清水崇監督、奥奈恵、伊藤美咲、市川由衣ら出演)を観る。市川由衣天才的に可愛い。ビデオで『TRICKー劇場版ー』(堤幸彦監督、仲間由起江、阿部寛、山下真司ら出演)を観る。こんな仲間由起江は可愛くない。俺はそういうところしか観ていないんだよ。ビデオで『ジョンQ』(ニック・カサヴェテス監督、デンゼル・ワシントン、アン・ヘッシュ、レイ・リオッタら出演)を観る。『狼たちの午後』みたいな際だった演技はどこにもないと思うんだけど、引き込まれちゃう。脚本がいいんだろうなあ。今週の「sabra」の付録はDVD。動けばいいってものじゃない、こんなのいいからグラビア増やすべし。夏目房之介編『トイレの穴』(福武文庫)を読む。面白くて勉強になって、なおかつ飯がまずくなるからダイエットにもなる。
ビデオで『呪怨』(清水崇監督、奥奈恵、伊藤美咲、市川由衣ら出演)を観る。市川由衣天才的に可愛い。ビデオで『TRICKー劇場版ー』(堤幸彦監督、仲間由起江、阿部寛、山下真司ら出演)を観る。こんな仲間由起江は可愛くない。俺はそういうところしか観ていないんだよ。ビデオで『ジョンQ』(ニック・カサヴェテス監督、デンゼル・ワシントン、アン・ヘッシュ、レイ・リオッタら出演)を観る。『狼たちの午後』みたいな際だった演技はどこにもないと思うんだけど、引き込まれちゃう。脚本がいいんだろうなあ。今週の「sabra」の付録はDVD。動けばいいってものじゃない、こんなのいいからグラビア増やすべし。夏目房之介編『トイレの穴』(福武文庫)を読む。面白くて勉強になって、なおかつ飯がまずくなるからダイエットにもなる。
胸チラの見方
2003年8月25日STAR PINE’S CAFEで遠藤賢司のライブ『純音楽の友』。小宇宙が宿るエンケンの右手から流星拳のように放射される粒子が見えた。ゲストの鈴木慶一も今日は叫び、共に狂い、凄まじいバイブレーション、これを「若さ」と呼ばずに何といおうか。そうか「不滅」ということか。「新潮」「群像」「オール読物」「文学界」「週刊プレイボーイ」購入。今月の「新潮」は読みでがある。「週刊プレイボーイ」巻頭グラビア長澤奈央のことを俺は茄子系に分類したく思う。茄子系とは5ページ目の写真でシンボリックに表現されているように、どてっ腹とまではいかないが、胸から下のフォルムが二等辺三角形になっているものの類型である。それが胸チラ確率も高いというのは、茄子系に於いてしばしば着用される服がルーズなTシャツ或いはタンクトップとなりがちであるからで、その際大体上方斜め75度の視点から見下ろすならば、すなわち胸チラの初歩的なテクニックである。
DVDで『ソード・フィッシュ』(ドミニク・セナ監督 ジョン・トラボルタ、ヒュー・ジャックマン、ドン・チードル、ハル・ベリーら出演)を観賞。落とさなくていいのにと苦々しく思った。ビデオで『ブルー・ベルベット』(デビット・リンチ監督 カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパー、ローラ・ダーンら出演)観賞。良い。デニス・ホッパーの姿勢が良い。ビデオで『エネミー・オブ・アメリカ』(トニー・スコット監督 ウィル・スミス、ジーン・ハックマン、ジョン・ボイドら出演)を観賞。テンション上がり具合がホントかっこよくて面白かった。
小久保彰『アメリカの現代写真』(ちくま文庫)を読む。60年代への共感がもっとも強くてその辺の章(前半)が特に名文だ。それとトリビア的知識を得る。また一つ賢くなった俺。本多勝一『日本語の作文技術』(朝日文庫)を読む。他人の悪文例を「反吐が出る」とか言って徹底的に否定していて、俺も否定されているようなもんだけど、素直になった方が勉強になる。
DVDで『ソード・フィッシュ』(ドミニク・セナ監督 ジョン・トラボルタ、ヒュー・ジャックマン、ドン・チードル、ハル・ベリーら出演)を観賞。落とさなくていいのにと苦々しく思った。ビデオで『ブルー・ベルベット』(デビット・リンチ監督 カイル・マクラクラン、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパー、ローラ・ダーンら出演)観賞。良い。デニス・ホッパーの姿勢が良い。ビデオで『エネミー・オブ・アメリカ』(トニー・スコット監督 ウィル・スミス、ジーン・ハックマン、ジョン・ボイドら出演)を観賞。テンション上がり具合がホントかっこよくて面白かった。
小久保彰『アメリカの現代写真』(ちくま文庫)を読む。60年代への共感がもっとも強くてその辺の章(前半)が特に名文だ。それとトリビア的知識を得る。また一つ賢くなった俺。本多勝一『日本語の作文技術』(朝日文庫)を読む。他人の悪文例を「反吐が出る」とか言って徹底的に否定していて、俺も否定されているようなもんだけど、素直になった方が勉強になる。
頭角を現す
2003年8月24日国立西洋美術館で『ドイツロマン主義の風景素描 ―ユリウス・シュノルの「風景画帳」、フリードリッヒ、コッホ、オリヴィエなど―』を見学する。皺の描き方・影のつけかた等々こういうものは勉強になる。夏休み中の子どもたちもたくさんいて、俺がじっくり絵を研究している横で何やらメモをさかんにとっていた。何を書いているかチラッと(胸チラの要領で)覗きこむと、絵のタイトルと作者の名前だけをびっしり書き込んで。それだけ書くと子どもたちは次の絵へと走っていった。俺の学童時代を振り返っても、日本の学校教育というものはそうすぐには変わらぬものと感じた次第。東京芸術大学美術館で『ヴィクトリアン・ヌード 19世紀英国のモラルと芸術』を見学。良い。何が良いって姿態が良い。姿態だけでもう絵のほとんどが決まってる。それは現在のグラビアにも通じる基本ってことなんだよ。Oh!ファンダメンタル。谷中は祭りだった。褌締めた屈強な男どもが真っ青な空を見上げて御輿を担いでいる。その流れを逆行して、全生庵で『三遊亭円朝の幽霊画コレクション』を拝観。皺の描き方・影の付け方、これでも学べるものである。ちっとも怖くなんかはないんだけど、寺の冷房が効きすぎていて鳥肌が立った。谷中は依然祭りだった。今夏最も暑い日、俺は祭りの囃子を遠くに聴いて、ビールを続けざまに飲み干した。超ウマカッター。
急に読みたくなったから、三島由起夫の『太陽と鉄』(中公文庫)を読む。昂揚感がたまらなく、読んだ俺は、なるほど向上するという仕組みになっておるんだな。ふむ、「私の遍歴時代」の三島先生は柔らかい。ベルリンの名門レーベル!K7のコンピレーション『!K7』はCD2枚DVD1枚計3枚組でこのお値段(2,300円くらいだっけレコファンで)、輸入盤業界の衝撃の名盤だった。嗚呼。
DVDで『はねるのとびら1』を観賞。これもお得だよね、俺TVで最初のほうは見てたけど、その後見てなかったから、初見のネタばかりだった。キングコング西野は当初から大物感あったけど、ロバート秋山ドランクドラゴン塚地インパルス板倉これらが頭角を現し、その角が鼻に付くほど伸びたっていうか、俺は時代に乗り遅れていた。
急に読みたくなったから、三島由起夫の『太陽と鉄』(中公文庫)を読む。昂揚感がたまらなく、読んだ俺は、なるほど向上するという仕組みになっておるんだな。ふむ、「私の遍歴時代」の三島先生は柔らかい。ベルリンの名門レーベル!K7のコンピレーション『!K7』はCD2枚DVD1枚計3枚組でこのお値段(2,300円くらいだっけレコファンで)、輸入盤業界の衝撃の名盤だった。嗚呼。
DVDで『はねるのとびら1』を観賞。これもお得だよね、俺TVで最初のほうは見てたけど、その後見てなかったから、初見のネタばかりだった。キングコング西野は当初から大物感あったけど、ロバート秋山ドランクドラゴン塚地インパルス板倉これらが頭角を現し、その角が鼻に付くほど伸びたっていうか、俺は時代に乗り遅れていた。
物々交換
2003年8月21日会社で仕事していると、内線で電話がかかってきた。「副社長が呼んでます」と。その時半分寝ていたんだが一瞬にして目が覚め、必死に誰かに取り次ごうとした。いえ、違います、俺を呼んでいるのだという。俺に用?ということは? 実は、遂にこの時がきたかという感じでした。度重ねたカラ出張と無断欠勤。常習となった遅刻。おかげでツラの皮は大分厚くなったが、クビの皮の方が逆に超薄になっていることは当たり前といえば当たり前でありすぎるのである。だけど、クビは嫌なんです。暗澹たる気分を持って、最期の悪あがきはできないものかと、そういえば俺は今日友人に届けるつもりで秘蔵の地酒を会社に持ってきていたことを思い出し、その地酒に一縷の望みを託すことにして、副社長室まで行くその道のり。胸に後生大事に抱えた地酒を、心臓が口をつけて飲み込んでいるかのような音をたてて、ごとんごとん鼓動が響く。全身緊張しておさまりきらず、結局そのままノックもできないで副社長室に入った。「おう、こんにちは、これ、あげる。」 いやいや、全く予期せぬ展開でした。副社長は俺が入室するやいなや(俺が靴を脱いで土下座をする前に)、これ、あげる、とネクタイを差し出したのだ。「お前、こないだ安っぽい服装してたから」と言っている副社長の笑顔に隠された主意を読み取ろうとしたけれども、とりあえず解雇を申し渡しているような感じじゃなかった。それで俺も安心して、それから初めて感動した。副社長の為にももう遅刻なんかできないぞ、俺は模範社員になる、そう決心して、それから初めて俺は自分の右手に一升瓶を握り締めていることに気がついた。なんたることだ。俺は副社長室に一升瓶を持って、ノックもせず言わば闖入者だ! そこでまた、頭が真っ白になってしまい、「あ、これ、あげます」と無作法にも副社長に地酒を押し付けた。今度は向こうが拍子抜けした顔をしたけれども、「物々交換になっちゃったなあ、そんなつもりじゃなかったんだけど、せっかくだからもらっときます」と言い、また笑ってくれた。俺は副社長の度量の大きさに全く感服させられた。
ナディッフで『蜷川実花展 アシッドブルーム』を(俺はここで初めて靴を脱いで)見学。四方の壁と床天井六面の巨大な花の写真。滴るような色彩を凝らして仔細に眺めるとやっと何の写真かわかるような巨大ってことなんだな。LAPNET SHIPで『HORRY’S WORLD vol.6』、俺にとっては(芸術とは)一瞥でもういい。嵐山光三郎『不良社員の条件』(光文社知恵の森文庫)、この良き日に万感の思いで読みひたる。頷いて、頭を垂れる、稲穂かな。俺は断じて不良社員じゃなく、せこくてぼんくらなだけということが、よくわかりました。せいぜい月並みな社員になりたい。
ナディッフで『蜷川実花展 アシッドブルーム』を(俺はここで初めて靴を脱いで)見学。四方の壁と床天井六面の巨大な花の写真。滴るような色彩を凝らして仔細に眺めるとやっと何の写真かわかるような巨大ってことなんだな。LAPNET SHIPで『HORRY’S WORLD vol.6』、俺にとっては(芸術とは)一瞥でもういい。嵐山光三郎『不良社員の条件』(光文社知恵の森文庫)、この良き日に万感の思いで読みひたる。頷いて、頭を垂れる、稲穂かな。俺は断じて不良社員じゃなく、せこくてぼんくらなだけということが、よくわかりました。せいぜい月並みな社員になりたい。
イヨー!
2003年8月19日東京都庭園美術館にて『マリー・ローランサン回顧展』を見学。シルクのようなやはらかいグレーとピンク色の画面。これらの絵を見ることは最高のパンチラを見ることに等しい、ということに気付いているだろうかオールドミス。庭園では、蝉があらん限りの声を上げて鳴いていた。目黒区美術館で『聖母子と子どもたち』見学。母のピンク色の頬と尖った唇、赤ん坊の尻から足先までの肉付き、俺は、人はパンチラの他にもこういった趣味があるのです。家では、デート・コース・ペンタゴン・ロイヤル・ガーデンの『MUSICAL FROM CHAOS』、空調効かせてギンギン冷やしたアイスコーヒー飲みながら、がとてもよいのだ。イヨー!本も読みながら、伊坂幸太郎『重力ピエロ』(新潮社)は、小説、まだまだいけるじゃん!などどは言わないまでも、芽が出て花開く村上春樹の種子たち、ということはよくわかって、俺にとっては心地よい推進力を持った物語進行。イヨー!イヨー!イヨー!
47分
2003年8月18日吉祥寺バウスシアターにて『茄子・アンダルシアの夏』(高坂希太郎監督・脚本、黒田硫黄原作、大泉洋、小池栄子ら声の出演)を観賞。素材的には2時間の映画なのかもしれないが、47分の作品に仕立てている。それどころか15分の短篇にでもできるんじゃないかと思わせる、これは中・短距離型の快走である。レースに結婚式、回想シーンが伴走し、唸るほど巧くコンパクトにまとめられているなか、例えば「三味線弾いてんじゃねえ」なんてセリフが茄子の塩漬けのように口に広がって、本来的な映画のスケールに想いを偲ばせるというものである。味王のように。クラフトワークの『TOUR DE FRANCE SOUNDTRACKS』もラストの曲を省けば、大体同じタイム。となれば、47分がやはり正解だったのだ。ルー・リードのベスト『NYC MAN』。リマスターの音がいいから、俺はもうこれしか聴かないかもしれない。
一瞥
2003年8月17日パルコミュージアムで『STRANGE MESSENGER & CROSS SECTION THE WORK OF PATTI SMITH』見学。描きすさび、表れてくる表情。芸術とは一瞥でいいのであるから、よく観れば、描線と思った所が文字の連なりであったりする、それは無視。シネマライズにて『エデンより彼方に』(トッド・ヘインズ監督 ジュリアン・ムーア、デニス・クエイド、デニス・ヘイスバートら出演)を観賞。瞼の裏のジュリアン・ムーア。テクニカラーで焼き付いた。それだけの価値とはいかばかりか。ジョセフ・ナッシングの『Deadland after Dreamland』は納涼墓場で運動会、エイフェックス片割れの墓石にボールが当たって、響わたる音。あらいい音。
炊事班長
2003年8月14日俺は実家に帰っていた。NHK総合でNHKスペシャル『映像記録・昭和の戦争と平和 −カラーフィルムでよみがえる時代の表情−』を観る。カラーであるところに逃げられない感じを得ても何故か漫然と観てしまう。俺はせめて8月15日が何の日か知っている人間ではありたいと思う。祖父は米寿だ。戦争中は南方に送られていたが、炊事班長という職務においての苦労はあっても(例えば猿に朝飯用の芋を盗まれ、高い木に登られたので地団太を踏んだこと)、戦闘行為を体験したことは無く、空襲すら経験しなかったそうである。7へえ。何はともあれ、無事米寿を迎えることができた祖父に俺は感謝を捧げたい。この際だから海野十三『赤道直下』長山靖夫編『明治大正昭和 日米架空戦記集成』獅子文六『海軍随筆』(いずれも中公文庫)を読む。選択肢の無い状況で生まれるユーモア、軍を称える時の不可避的な適当さ、とってつけたような感じ。別に俺シニカルに読んでないけど、こういうのは絶対面白くなるよね。
可愛らしさ、仮に
2003年8月10日Bunkamuraザ・ミュージアムにて『フリーダ・カーロとその時代 メキシコの女性シュルレアリストたち』を見学。まず髭まで描くというところに精緻さはシュルレアリスムの必要条件であるにせよ十分条件まで満たしているというか呪怨的で怖い。レメディオス・バロのファンタジスタにのっかって風のように退出。シネマライズで『キャンディ』(クリスチャン・マルカン監督、エヴァ・オーリン、マーロン・ブランド、リチャード・バートン、リンゴ・スターら出演、テリー・サザーン原作、ザ・バーズ演奏)を観賞。キャンディの可愛らしさとは、マネキン顔とすぐヤラせてくれそうなガードの甘さだ、と仮に言っておこうか。ビデオで『お熱いのがお好き』(ビリー・ワイルダー監督、マリリン・モンロー、トニー・カーティス、ジャック・レモンら出演)を観賞する。マリリン・モンローがとてもかわいい。これもやはりマネキン顔とすぐヤラせてくれそうなガードの甘さがあるからだ、という一般論があったとして、仮に。俺も何となくそれ分かる気がする。大西巨人『三位一体の神話』(上下 光文社文庫)を読む。括弧の多さが渋くて(結構辛くて)、それを読み込むことも含めて知的スリルと言うならばそれは充溢しており、なおかつミステリー的スリルが甚だ速やかに読書を進行させる。必ずしもそれが背反し合わず抵触しないことは、この「長編総合」小説そのものの作因・主題のメタファーであるかもしれなく、これは面白いや。